デザインの良し悪しは、フォントの使い方や選び方で決まるといっても過言ではないほど、とても重要な要素です。
商品や伝えたい内容のイメージに合うフォントを、デザイナーがこだわって選ぶことによりデザインの魅力が増します。
いい仕事をするデザイナーはほとんどといっていいほど、フォントに関する知識が豊富です。
しかし、デザイン性の高いフォントを使おうとすると値段が高く個人では手が出せません。
例えば、モリサワのフォントはとても高額で、制作会社でなければなかなか手を出せないと思います。
そこで、予算のない場合はAdobe Creative Cloudにバンドルされている、typeKitを使いこなすことをおすすめします。
Typekit は、Adobe Creative Cloud のメンバーシップサービスのひとつで、Web と印刷用に数千の多様なフォントを提供しています。視覚デザイン研究所(VDL)、字游工房、タイプバンク、大日本印刷(DNP)、フォントワークス、モリサワなど大手ベンダーのフォント使えます。※2018年9月現在。
そのtypeKitを上手く使いこなすために、フォントのイメージ分布図を作りました。
目次
Typekitフォントイメージ分布
フォントに詳しい人から見ると突っ込みどころもあると思いますが、事例となる根拠を元に、フォントを雰囲気別に分けてみました。
※typekit内のすべての日本語フォントは入れておりません。よく使われるものをピックアップしてます。
このように、フォントをある程度分布させておけば、やみくもにフォントを探すのではなく、デザインの印象に合ったフォントを容易に探すことが出来ます。
縦軸が柔らかさ、横軸が太さです。
typekitフォント分布図ダウンロードはこちら。
フォントのイメージ分布図を作るにあたり、参考にした書籍はこちら。
以下は、フォント分布図の根拠となる事例です。
すべてのフォントの事例を紹介するのは無理なので、一部のフォントの使われ方をご紹介します。
高級なイメージ
「高級感」や「品格」をイメージさせるフォントは、明朝体、楷書体などを使われることが多いです。
高級感と女性らしさはともに共通点が多く、共に明朝体を使われる事が多いです。
優雅でエレガントな書体が候補に挙がります。
DNP 秀英明朝 Pr6N B
秀英体は、大日本印刷株式会社が、その前身である秀英舎の活字書体を100年以上にわたって引継ぎ、開発を行ってきた書体です。「秀英明朝」は、書籍の作り手と読者の双方から高い評価を得てきた本文用書体で、秀英体独特の連綿を持ち、目に優しい黒みを備えつつ、明るく整った落ち着いた雰囲気の組みができるのが特長です。本文組や見出しに利用しやすい L, M, Bのファミリーです。
ナチュラルなイメージ
「自然」「エコ」「リラックス」「ナチュラル」などのイメージさせるフォントは、丸ゴシック体や、細めの書体で先端に丸みを帯びているフォントを使われることが多いです。
FOT-筑紫A丸ゴシック Std B
デジタルフォントの標準的な丸ゴシック体とは一線を画す書体です。現代の感覚で味わい深い丸ゴシック体を設計しました。ふところの広い現代風なデザインではなく、ふところを絞ったデザインの丸ゴシック体です。「漢字」は幾何学的な直線処理ではなく、温かみのある丸みを帯びたラインを意識して設計しています。「かな」はニュートラルなデザインです。
文字を組んだときの書風は格別です。
※AとBの漢字等は、共通のデザインの文字を使用
女性らしいイメージ
「美しさ」「清々しさ」「凛々しさ」をイメージさせるフォントは、主に明朝体を使われることが多いです。
「高級感」とイメージが被っています。
細めのウェイトを選ぶ時が多いですが、もっと太くしてほしいと言われた際に、太ミンを使うなど、フォントの知識をストックしておくと、悩まずに済みます。
A-OTF 太ミンA101
「太ミンA101」は、長く愛されている伝統的な明朝体です。やや武骨ともいえる重心の低い骨格、丁寧に肉付けされた太みとのコントラストをなすシャープなはね・はらいが特徴で、組まれた言葉のひとつひとつが丁寧に語られていくような味わい深さが、この書体の魅力となっています。漢字・かな共に大きめの設計なので、縦組みはもちろん横組でも使いやすく、雑誌等の本文や中見出し等に適しています。
A-OTF リュウミン Pro R
「リュウミン」は、その名の元となった森川龍文堂明朝体をベースに開発した、スタンダードな明朝体です。金属活字に由来する彫刻刀の冴えを、左右のハライや点の形に活かしながらも、縦画・横画の先端やウロコにはやわらかさをもたせており、親しみやすい雰囲気になっています。特に、均整のとれた流れるような表情の美しさには定評があり、本文組みから見出しまでDTPの基本書体として幅広く使用されています。
モリサワ A1明朝
※typekitに入ってませんが、参考に。
レトロ・かわいいイメージ
昔っぽさや、かわいいイメージを連想させるフォントは、明朝体とゴシック体の中間のデザインフォントを使われることが多いです。
漢字タイポス412 Std
タイポスの漢字デザインは 1968年グループ・タイポの機関誌に発表されて以来、時代と共に進化し、2008年に漢字タイポスとして初めてフォント化され、ファミリーも5ウエイト揃いました。40年経っても今なお新しく、キュートでコケティッシュな表情は多くのタイポスファンを魅了し、そのシンプルで明るい字形は、印刷媒体だけでなくWebや携帯電話などの画面表示でも読みやすい書体として注目を浴びています。
モリサワ フォーク R
※typekitに入ってませんが、参考に。
こどもらしいイメージ
「子供らしさ」「楽しさ」をイメージさせるフォントは主に丸ゴシック体を使われる事が多いです。
じゅんはJunior(ジュニア)の単語をもとに命名されていますので、子供っぽさを出すときに使われることが多いです。
A-OTF じゅん Pro 501
「じゅん」は、優しくリズミカルなカーブをもち、ソフトなイメージの表現に最適な丸ゴシック体です。手書きのイメージを残し、読みやすさを考慮した文字の大きさに設計されているので、視線の流れを妨げず親しみやすいデザインです。先端の丸みと太さがバランスよく調和し、じゅん101、201は絵本や雑誌の本文など、じゅん34、501は見出し・タイトルロゴなどにそれぞれ魅力を発揮します。
男らしいイメージ
「男らしさ」「無骨さ」をイメージさせるフォントは、太めのゴシック体を使われます。
ゴシックMB101 B
「ゴシックMB101」は、伝統的なゴシック体の流れを引き継ぐ、風格あるゴシック体です。しっかりとした骨格を備え、ハネやハライの先端まで力強さと流れを感じさせるエレメントは、親しみやすく信頼感があります。タイトルやコピーに向く太いウエイトは、肉声をイメージさせる骨太な表情で定評があり、細いウエイトは雑誌などの本文組みから中見出しといった幅広い用途に対応し、実力を発揮します。
現代的なイメージ
「未来」「最新」などをイメージさせるフォントは、普通のゴシック体を少しアレンジされたフォントが使われます。
最新の電化製品や、高機能なPCなどのバナーに使われることが多いです。
A-OTF 新ゴ Pro B
「新ゴ」は、システマチックな雰囲気をもつ現代的なゴシック体です。装飾のない均質で明るいデザインは、文字ツメ処理なしに、タテ・ヨコ組ともラインや黒みの揃った美しい組みを実現します。スマートで洗練されたイメージは、あらゆるグラフィックデザイン、広告などの用途に最適です。大きなサイズではインパクトがあり、小さなサイズでも可読性が高いので、公共のサインからパーソナルユースの名刺まで、広範囲にお使いいただけます。
UD新ゴ B
「UD新ゴ」は、見やすい書体として評価の高い「新ゴ」をベースに、個々の文字のわかりやすさを重視した字形をとりいれたユニバーサルデザイン書体です。欧文・数字には判別性にすぐれた欧文書体 ClearTone SG のデザインを採用しています。ユニバーサルデザインに配慮をしたい媒体で、見出しやサインなど整然としたデザイン的な表現において特に力を発揮します。
視認性を重視したイメージ
「視認性」「読みやすさ」を求める時に使われるフォントです。
源ノ角ゴシックはフォントのウェイトも豊富で、オールラウンドに使えるので重宝しまっす。
typekit以外のフォントで言うと「メイリオ」「ヒラギノ」あたりがこのグループに属します。
源ノ角ゴシック
TBUDゴシック
小塚ゴシック
以下がでしたでしぃうか?
フォントの知識が豊富だと、デザインを考える時に迷わずに選ぶことが出来るので、
デザイナーはフォントの種類をたくさん覚えましょう。
最後に私がもっとも参考になるフォントの本はコチラです。
有名な有料フォントが網羅されており、使い方の例まで載っているので、
フォント選びに迷ったときにとても参考になります。